せっかく内定をもらったのに長く働ける環境でない仕事、というのは多々あります。そればかりか自分からではなく会社側から辞めさせられることがあります。しかし正社員を解雇するには相応の理由が必要になるのですが、トライアル雇用求人は少し状況が異なります。それは会社側が比較的簡単に解雇することが出来る、ということです。
トライアル雇用求人とはそもそも何か？
簡単に言うと企業が従業員を会社に一人入れる事で、国から補助金がもらえるというものです。求職者にとっての最大のメリットは「知識や経験が全く無い状況でも雇ってもらえる」ということです。
ハローワークで「トライアル雇用求人」というものが出ていますが、これをよく見てみると絶対に「経験者」と書かれていません。経験の無い若者でも積極的に企業に雇用してもらい、雇用機会を作るという国の方針だからです。
社会人の求職者であれば大体の方は要件を満たすことが出来ます。しかし以下に該当していると受給できません。
・安定した仕事(正社員・アルバイト・パート・派遣・契約社員問わずフルタイム)をしている方
・自営業や役員をしている方
・学校にいっている方(学生は不可・ただし卒業後未内定者は除く)
生活保護や母子家庭、日雇い労働者やホームレスは受給の要件を満たすので可能です。全ての人に当てはまることでは、基本的には１週間で30時間以上の労働で、３ヶ月というのがトライアル雇用の条件です。
参考：トライアル雇用助成金（一般トライアルコース） 厚生労働省
この制度の何が問題かというと、「未経験」「未知識」で働くという事は基本的にはあまり戦力にならないという点です。求人を出している企業は中小企業が多く、いくら助成金をもらってもずっと雇用を続けたいと思うのでしょうか。
突然「解雇します」と言われることは実は多い
このトライアル雇用、実は解雇がとてもしやすいのが特徴です。通常の正社員にしてもらえる３ヶ月を待つ前に「辞めて下さい」と言われることは多々あります。３ヶ月で解雇ならまだマシな方で、酷い場合には即日で解雇というケースもあり、問題になっています。
雇用期間中の３ヶ月間は、「お互いの顔見せ」「仕事に慣れるまで」とはよくいわれますが、実態は３ヶ月だけ働かせてポイ捨てをされるという悲惨な現状で溢れています。
トライアル雇用求人を出す会社にロクんは会社は無い
よく言われるのがなぜ正社員で求人を出さないのか？という事です。それはトライアル雇用求人の方が「とても安く」人を雇えるからであり、「とても簡単に」人を解雇できるからです。補助金をもらえれば安い人件費を更に安くすることでき、雇いたいときにだけ雇うことが出来ます。そんな考えの会社では働いても残業代やパワハラなど問題が山のように出てきます。人を大切にしない会社というのは「トライアル雇用」を採用している事で分かってしまうのです。
会社側とトラブルになるケースも多く、知っている方からすれば「ケチ臭い方法」で求人を出している、と思われています。それほどトライアル雇用に魅力は無いのです。
トライアル雇用を考えている企業の方へ
少しでも人件費を安くしたいと思うのはどこの会社でも同じです。しかし人が入れ替わり立ち代りする職場は成長せず、モチベーションも高く保つことが出来ません。人を育てるというならば、ケチ臭い求人方法を取らずに正社員で「未経験可能」と示し、給料は抑え目に出す方がよっぽど「まともな会社」と求職者にはとられます。
もしくはアルバイトやパートで採用を考えましょう。仕事が出来ると判断できれば正社員に昇格したり、給料をあげて社員を大切にする事を考えるべきです。
「期間の定めあり」「期間の定めなし」では求職者にとって天と地の差があります。短い期間で辞めさせて恨みでも買うとろくな事がありません。今は情報が広まるのも早いですし、会社の口コミも多く存在します。３ヶ月だけの戦力が欲しいなら、派遣社員やアルバイト・パートできちんと３ヶ月だけ、と記載して人を集めましょう。
